飼い猫の死

ふたつめの記事がヘビーすぎる件。

ペットが死んだ飼い主さんが検索でたどり着いてくれて傷を舐め合えれば…と思って書いてます。今の気持ちと事細かな行動の記録です。長いし面白くはないです。

でも猫の写真は可愛いよ。


猫の名前はミルク。

5歳だった妹が名前をつけた。なかなかのネーミングセンスである。私たちはみーすけ、とか、みーちゃんと呼んでいた。7kgあるデカいオス。

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貫禄のお腹。白猫なので耳と鼻、お腹がピンク色でほんとに可愛い。

抱っこが嫌いで膝の上にも乗らず、一緒に寝ることもなかったクールな猫だけど、最期の1ヶ月は私のベッドで過ごした。ベッドの半分をみーちゃんに譲り、わたしは直立不動で寝られるようになった。

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亡くなる2日前から何も食べなくなっていた。一昨日私が家に帰ってきた3時頃は部屋も寒くて、表情がかたい。ドアを閉めて部屋が暖かくなると、少し身体を伸ばして寛いでくれる。夕方、マッサージをすると喉を鳴らしてくれた。寝る前も撫でたけど、そのときはまた表情がかたかった。

その夜は、夜中に起きることがなかった。みーちゃんがベッドを降りた時の音で、ほぼ毎日夜中に起きていたのに。起こしてほしかった。寝なければよかった。

昨日の朝、いつも通り9時ごろに母が部屋にみーちゃんの様子を見に来て起きた。もう息をしていなかった。ひとめみて分かった。

母がみーちゃんを抱き上げて、もう明らかに死後硬直しているのに、まだあたたかかったから、「まだもしかしたら」と言った。受け入れられない気持ちはよく分かった。私は、ついにその時がきたか、という感じだった。現実感がなかった。


母がみーちゃんが好きな花柄の毛布にくるみ、箱にいれて、リビングのソファの上に置いた。そして泣きながら動物病院と火葬業者に電話した。私は淡々とみーちゃんが寝ていた毛布を洗濯機にいれ、掛け布団カバーとシーツを外した。そしてネットでペットが死んだ時にどうすればいいのか調べた。腸が腐りやすいと書いていたので保冷剤をお腹の上に置いた。

母が仕事に行ってから泣いた。現実に向き合うことができなかった。とにかく他のことを考えていたくて、ニコニコ動画でゲーム実況を観て、眠くなったらみーちゃんの遺体の横で寝て、起きたら怪談を読んだ。

ずっとツイッターをした。次々と新しい情報が読めて、何も考えずに済むから。食べたくないのに食べた。食べている間は食べることに集中できる。お腹の皮が張って苦しかった。

母と父が帰ってきて、3人でダイニングでくだらないバラエティを観ながら夕飯を食べた。みーちゃんの話は極力避けた。

夕飯の後、父はリビングでみーちゃんの顔を見ながらお酒を飲んでいる。1度私を呼びに来て、「ぐるぐるしてる音が聞こえる」と言ってじっと耳をすませていた。みーちゃんは他の誰の膝にも乗らないのに、父の膝にだけは飛び乗って、撫でられるのが大好きだった。父に撫でられると必ず喉を鳴らしたから、父の耳には喉を鳴らす音が残っていたんだろう。「聞こえるかもしれないね」と返事した。父も泣いてた。

母はネットで好きなバンドの動画をみていたけど、しばらくしてからスマホを見ながら泣いていた。「いつもみたいに(みーちゃんが)夜に起こしてくれればよかったのに」と私が言ったら、「でも、みーちゃんは最後まで人のぬくもりを……」と途中で声を詰まらせていた。母がこんなに泣いているところを初めて見た。いつも我慢する人だから。

私は、それほど自分は強くないから、とドラマを観たりツイッターをしていたけど、このままでは終わりが来ないと思ってツイッターのアプリをアンインストールした。

そして悲しみに向き合うためにこのブログを書いている。


この14年半ずっと当たり前だったことが、そうじゃなくなる。

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家に帰ったらまず最初にみーちゃんにただいまを言いにいっていたこと。特にここ数ヶ月はみーちゃんのことが心配で、帰ったら真っ先に私のベッドで寝ているか確認していたから、しばらくは家に帰るたびにみーちゃんがベッドの上にいないことを確認して泣いてしまうだろう。

みーちゃんが私のベッドを半分占領していること。あの大きな白い塊がいないベッドでなんて寂しすぎて寝られる気がしない。寝る前にはいつも撫でていたのに。明日からみーちゃんがいないベッドを見るのが1番辛い。耐えられないので、みーちゃんを寝かせているリビングのソファで寝ている。明日からも自分のベッドでは寝られないと思う。

家に1人でいても、とたとた、と猫の足音が聞こえたり、ご飯を食べる音がすること。今日の午後はずっと幻聴が聞こえていた。ぐるぐる喉を鳴らす音が聞こえていた父のことをヤバイとは言えない。しばらくは、些細な物音全てをみーちゃんが立てる音に変換してしまって、みーちゃんがもういないことを思い出して泣くんだろうな。

でも、少しずつみーちゃんがいないことに慣れていく。今は到底受け入れられないけど、大丈夫。無気力でもいい。現実逃避して、ゲームしたり本を読んでもいい。自然と元気が出るまで、ゆっくり回復しよう。

最期のときも、息を引き取ってからも、みーちゃんに向かって語りかけようとしなかったことに、ブログを書いている途中で気づいた。でもだって、そんなことするの悲しすぎる……でも一区切りにはなるだろうか。

BGMは小田和正で。ときをこーえてー


みーちゃんへ

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うちへ来てくれてありがとう。みーちゃんは生まれて2週間くらいの時に迷子になってるところを私に攫われてしまって、全然猫のお母さんと過ごせなかったのに、すごく賢かった。トイレはすぐに覚えたし、マーキングもしない。どこで寝ていても、フローリングまで移動してから吐く。幼い妹が乱暴に扱っても怒らなかった。ほんとにいい猫だった。

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普通の日本猫よりも大きくて毛がちょっと長くて毛ざわりがふわふわなところも大好きだった。こんなに綺麗で可愛い猫はいない、といつ見ても思った。鰹節が大好きなのに鰹節アレルギーで、食べすぎるとお腹の毛が禿げてピンク色のお腹になってたね。「猫のお腹ってこんなこんなんだっけ?」とママと首を捻って、毛が生えてないのはおかしいと気づいた時は笑った。

ドアの下から指を出したり引っ込めたりする遊びが好きだった。猫じゃらしよりも紐で遊ぶのが大好きだったから、きっとみーちゃんの先祖は蛇を食べてたんだろう。みーちゃんと遊びたくてズボンのウエストの紐を引っこ抜いてはなくした。

ご飯はシーバがいちばん好きだったけど、同じ種類をあげ続けると飽きて食べなくなる七色小僧だった。スープも好きだったけど、1度ママが鯛でダシをとった高級スープを作ったのに食べなかったね。ベッドに寝たきりになってから死ぬ2日前までご飯をたくさん食べてくれてありがとう。本当に嬉しかった。無理やり食べさせるときもあってごめんね。少しでも生きてほしかったの。

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みーちゃんはうちに来て、幸せだったかな。私達は、すごく幸せだった。家族の仲がうまくいかない時、みーちゃんがそこにいるだけで、喧嘩しなくてすんだ。みーちゃん可愛いね、って微笑む時は家族でいられた。鬱病でどこにも居場所がない父を救ったのがみーちゃんだった。誰にも言えない悩みを抱えた妹もみーちゃんのことが大好きだった。みーちゃんは存在するだけでみんなの心の支えだった。本当に、うちに来てくれて、ありがとう。

みーちゃんがいなかったら、無理だよ、って今は思う。子はかすがいと言うけど、うちの場合は猫がかすがいだったから。これからどうなるのかはちょっと想像出来ない。


ねえみーちゃん、今まで想像するだけで悲しくて次の日に目が腫れるまで泣くくらい恐れていたことが現実になってしまった。みーちゃんともう会えないなんて、寂しさで胸が破裂しそう。これはもう、時間とともに慣れていくしかない。猫の死後の世界がどうなってるのかは分からないけど、初七日までは幻覚を聞き続ける気がしてる。っていうかお願い、初七日までは化けて出てきて……夜中にガサガサ音ならして起こしたり、毛布の上に乗ってきたり、ドアを開けろ、ってジャンプしたり、水遊びして水をまき散らしたりしてほしい……でも成仏はしてほしい。みーちゃんは輪廻から解脱しそうなくらい徳の高い猫なので裁判を待たずに天国コースかもしれない。でも、生まれ変わってまた出会えたら嬉しい。


手紙を書くというのは、故人を思い出しながら思い切り泣くことに意味があるのかもしれない。辛くてみーちゃんの写真を見返すこともできなかったけど、ブログにはるために見返すことができた。目は腫れるけど心は少し落ち着く。

ゆっくり、みーちゃんのものを片付けようと思う。今日は片付けの日。